21日で習慣化できるというのは誤解
「新しい習慣は21日で身につく」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
実際には、科学的に21日で習慣が定着するという根拠はありません。
研究では、平均で66日、最短で18日、最長で254日と幅広い結果が報告されています【2】。
21日説の由来はどこから?
この説の発端は、1960年代に出版された整形外科医マクスウェル・マルツの著書『サイコ・サイバネティクス』です【1】。
彼は整形手術を受けた患者が「新しい自分の姿に慣れるまでに約21日かかる」と記したのが始まりでした。
つまりこれは臨床経験に基づいた観察であり、科学的な研究データではありません。
実際の研究結果
2009年に英国ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームが、96人を対象に
「新しい行動を習慣にするまでの日数」を調査しました。
平均:66日
最短:18日
最長:254日
この研究からわかるのは、習慣化にかかる時間は一律ではなく、個人差や行動の種類によって大きく異なるということです【2】。
習慣化に影響する要因
行動の難易度
例:コップ1杯の水を飲む vs 毎日30分運動する
環境や文脈
例:職場・家庭・時間帯・周囲の影響
本人のモチベーション
やる気の高さだけでなく「やらざるを得ない仕組み」も重要
サポートやフィードバック
人から見られている感覚や小さな達成感が継続を後押し
21日説に潜む誤解
・「3週間で必ず習慣になる」と思い込むと、続かないときに挫折感が強くなる
・実際はもっと長くかかるのが普通
・習慣化のカギは「日数」ではなく、無理なく続けられる仕組み作りにある
E.Sとしての見解
パーソナルトレーニングE.Sとしては、習慣になるまでの日数は人それぞれだと考えています。
大切なのは"日常生活になじませる仕組み作り"です。
例えば運動を習慣にしたいなら、
・毎回の運動が気軽に始められる程度の強度設定(15分ウォーキングや階段を頻繁に使うなど)
・断りづらい他人と約束して実施する(パーソナルトレーニングやヨガ、ピラティスなどのレッスンなど)
・運動と好きなことをセットにする(エアロバイクを漕ぎながら推しの動画を見るなど)
こうした工夫で習慣にしやすくなると思います。
ただ、習慣化はとにかく長期戦なので、他の誰かのやり方と比較しないことをお勧めしています。
参考にするのは良いですが、結局自分が続けられる方法が見つかればそれが一番の習慣化の後押しとなります。
参考文献
1.Maxwell Maltz(1960年, Psycho-Cybernetics)
21日説の由来となった著書。科学的な研究ではなく臨床経験を基にした記述。
2.Lally, P. et al.(2009年, University College London, European Journal of Social Psychology)
96人を対象に新しい習慣が自動化されるまでの日数を調査。平均66日、最短18日、最長254日という結果を報告。
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