結論:直接的に太る原因にはなりにくい。ただし過信は禁物
ゼロカロリーの食べ物や飲料は砂糖を含まず、カロリーもほとんどありません。
そのため「摂取しても太らない」と考えられがちです。
研究を見ても、砂糖飲料をゼロカロリー飲料に置き換えると摂取カロリーが減るため、体重管理に有効という結果は多く報告されています【1】。
ただし、人工甘味料が食欲や腸内環境に与える影響については研究が分かれており、「太らない」と断言できるほどのエビデンスはありません。
科学的に分かっていること
1.短期的効果
複数の研究で、砂糖入り飲料をゼロカロリー飲料に置き換えると体重が減りやすいことが示されています【1】。
2.長期的効果
一方で、疫学研究では「人工甘味料をよく摂る人は肥満や糖尿病のリスクが高い」という関連が報告されています【2】。
ただしこれは「人工甘味料が原因」というより、肥満傾向の人がゼロカロリー飲料を多く選ぶ可能性もあり、因果関係ははっきりしていません。
3.腸内環境への影響
イスラエルの研究(2014年)では、一部の人工甘味料が腸内細菌の変化を引き起こし、耐糖能に影響する可能性が示されました【3】。
ただし、ヒトでの影響はまだ研究途上です。
ゼロカロリー飲料は甘いもの欲を強める?
脳の反応の違い
人工甘味料は「甘さ」を感じさせますが、糖分が入らないため脳の報酬系が満たされにくいと考えられています。
その結果「もっと本物の甘いものが欲しくなる」可能性が指摘されています。
研究結果
一部の研究では「人工甘味料飲料を摂る人は甘いものの欲求が強まる」ことが報告されています。
一方で「砂糖飲料をゼロに置き換えると総摂取カロリーは減る」という結果もあり、影響は人によって異なると考えられます。
まとめ
現時点では 「甘いもの欲を強める人もいれば、抑えられる人もいる」 という段階。
習慣的に大量に飲むより、水やお茶を基本とし、ゼロ飲料は嗜好品として取り入れるのが望ましいでしょう。
誤解されやすい点
・「ゼロだから無限に摂取して良い」わけではない
・ゼロカロリーだからと安心し、他で食べていいと感じてしまう「代償効果」
・人工甘味料は「砂糖よりマシ」な選択肢であって、万能ではない
健康リスクの観点
・WHO(2023年)は「人工甘味料は体重管理に有効だが、長期的な健康効果については不確実」と発表しています【1】。
・大量摂取と糖尿病や心血管疾患リスクの関連を指摘する報告もあるが、結論は出ていません。
・現時点では「砂糖入り飲料よりは有益」「ただし水やお茶には劣る」と考えるのが妥当。
E.Sとしての見解
パーソナルトレーニングE.Sとしては、
ゼロカロリー飲料を上手に味方につけてもらうことを推奨しています。
・普段飲んでいるジュースをゼロ飲料に置き換える → 摂取カロリー削減につながる
・水やお茶をメインとしつつ、ゼロ飲料も補助的に利用する
・習慣的に多量を飲むのではなく、嗜好として楽しむ程度に留める
つまり、「普通のジュースよりはマシ」「水やお茶が基本は良い」という位置づけで利用するのがおすすめです。
参考文献
1.WHO(世界保健機関, 2023年ガイドライン)
人工甘味料は短期的な体重管理には有効とされるが、長期的な健康効果についてはエビデンスが不十分。
2.Ruanpengら(タイ・チュラロンコン大学, 2017年)メタ分析
人工甘味料と体重・肥満・糖尿病の関連を検証。肥満リスク増との関連は見られるが、因果関係は明確でない。
3.Suezら(イスラエル・ワイツマン科学研究所, 2014年, Nature誌)
人工甘味料が腸内細菌に影響し、耐糖能に変化をもたらす可能性を報告。ただしヒトでの知見は限定的。
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