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腹筋をすればお腹は痩せる?


結論:腹筋だけでお腹の脂肪が落ちるという根拠は見つかりませんでした


「お腹を痩せるには腹筋を!」と思ったことはありませんか?

雑誌やSNSではよく「腹筋でお腹痩せ」と紹介されます。

 

そこで実際に研究を調べてみると、腹筋運動をしてもお腹の脂肪だけが減るという明確なエビデンスは確認されていません
脂肪は全身的に燃焼される仕組みであり、特定の部位だけを狙って減らすことは難しいとされています【1】【2】。


なぜ「腹筋すればお腹が痩せる」と考えられてきたのか?


・腹筋をすると「お腹が熱くなる」「疲れる」ため、脂肪が燃えているように感じる

・広告やSNSで「部分痩せ」「お腹やせ運動」と表現されることが多い


・筋肉が張ることで一時的に引き締まったように見える

 

このような要因から「腹筋=お腹痩せ」というイメージが定着したと考えられます。


研究で分かっていること


アメリカ・カンザス州立大学のVisputeら(2011年)の研究では、
被験者に6週間、腹筋運動を週5回行わせたところ──

  • 腹筋の筋力は向上した

  • しかし腹部脂肪の減少は確認されなかった

という結果が報告されています【1】。

 

また、アメリカスポーツ医学会(ACSM)も「部分的な脂肪減少は起こらない」とガイドラインに記載しており【2】、科学的には全身的なエネルギー消費による脂肪燃焼が基本とされています。



では腹筋運動は意味がないのか?


そんなことはありません。腹筋運動には以下のような役割があるとされています。

 

・体幹を安定させ、姿勢改善や腰痛予防に役立つ

 

スポーツや日常動作のパフォーマンス向上に貢献

 

・脂肪の下にある筋肉が強化され、ボディラインを整える

 

つまり腹筋は「直接的なお腹痩せ」にはつながらなくても、健康や体型維持においては大切な運動だといえます。


お腹の脂肪を減らすために有効とされる方法


 

・食事管理(摂取と消費のバランスを整えることが基本)

 

・有酸素運動(ウォーキング・ランニング・サイクリングなど)

 

・全身の筋力トレーニング(基礎代謝を高める)

 

研究でも、これらの組み合わせが体脂肪減少には効果的とされています。



E.Sとしての見解


当ジムでも「特にお腹が痩せたい」というご相談は非常に多いです。
しかし、科学的なデータに基づけば「腹筋だけでお腹が痩せる」ことはありません。

ジムでお伝えしているのは──

 

・お腹痩せ=腹筋ばかりやるは非効率

 

・腹筋は体幹強化・姿勢改善のために大切


・食事管理+全身トレーニング+有酸素運動の組み合わせが最も効果的

 

ただし、腹筋は体幹強化や姿勢改善には有効であるため、指導現場では全身運動腹筋トレーニングをセットでご案内しています。

部分痩せを狙うよりも、全身的な取り組みの中で自然にお腹も引き締まっていく、という視点を大切にしています。

 

参考文献


1.Visputeら(アメリカ・カンザス州立大学, 2011年)

 6週間の腹筋運動では筋力向上は見られたが、腹部脂肪の減少は確認されなかった実験研究。

 [原題]Vispute SS, et al. “The effect of abdominal exercise on abdominal fat.” J Strength Cond Res. 2011.

 

2.アメリカスポーツ医学会(ACSM, 2021年版ガイドライン)

 部分痩せは起こらないと明言。脂肪減少は全身的な運動と食事管理に依存すると解説。

 [原典]American College of Sports Medicine. ACSM's Guidelines for Exercise Testing and Prescription, 11th ed. 2021.